西荻北ファミリーハウス
設計:一級建築士事務所あとりえ(担当:とりやまあきこ・大関美奈子)
施工:大矢工務店
所在:東京都杉並区(2025.春完成)
西荻窪駅近くの築40年を超えた戸建住宅が、快適でおしゃれな賃貸住宅に生まれ変わりました。
昔の木造戸建住宅は、断熱が十分ではなく、冬寒く夏暑い建物がほとんどです。
今回の建物も冬には底冷えしたり、寒いから暖房をしたら結露したりと、住環境としては困ったことが多い建物でした。
リノベーション工事では、暑さ寒さ対策として、1階床下・外壁・2階の天井裏に断熱材をしっかりと入れ直し、
大きな窓には断熱効果の高い内窓を取り付けました。
断熱性能を高めることで、暑い夏も寒い冬も外気による室内の温度変化を抑え、空調の効きがとても良くなります。
また、冬の結露の原因の一つになる建物内の換気が不十分だったため、換気扇も追加しました。
内装は、元の建物の魅力を生かしながら現在の暮らしに合うようにデザインを調整しなおし、設備類も新しいものに交換しました。
その他、屋根のメンテナンス、外壁の塗り直し、設備配管をやり直すなど、基本的なメンテナンスをしっかり行いました。
設計事務所ならではの細かなアイデアで、建物の魅力と暮らしやすさ、
建物性能のバランスがとれた、付加価値の高い賃貸住宅になりました。
外観。オレンジの瓦はそのまま。外壁は塗り直し。レトロなデザインの玄関ライトは残しました。
玄関正面の壁に、建物の雰囲気に合わせて若草色のアクセントクロスを選定
階段室のタイルや床など、雰囲気の良い部分はそのまま生かしています。
和室だった1Fのリビング。鴨居や敷居を取り払い、ダイニングとつなげて広い空間に。
床をフローリングに張り替え、押入れは折戸の収納に変更しました。
底冷えが気になった床下には、断熱をしっかり敷き込みました。
1Fリビングから庭を見たところ。庭の灯籠はあえて残しています。
窓際のサンルームだったところも、鴨居と敷居をとって床と天井がそのままつながるようにし、
ダイニング〜リビング〜サンルームを、広いワンルーム空間としました。
ダイニングからリビングを見たところ。
寒かった洗面室、浴室には外壁断熱+内窓をとりつけ、しっかりとヒートショック対策をしました。
洗面台や鏡、照明、床材など、デザインのポイントになる部分は一つずつ丁寧に選んでいます。
浴室は寒かった在来のタイル張りのお風呂から、掃除のしやすいユニットバスに交換。
浴室換気乾燥機付き。内窓も取り付けました。
2階の階段をあがったところから階段室をみる。
木の手すりを新しく取付け、照明器具も交換。
新しく取りつけるものは元の建物の雰囲気に合わせて、丁寧に選んでいます。
階段室横の2階、3畳ほどの小さな空間。元は納戸でしたが、窓もあって、ワークスペースや勉強スペース、
趣味のスペースにちょうど良さそうな広さなのでハンガーパイプなどは取り払い、小さなサブスペースとしてデザインしています。
2階の個室1。クロスと床を張り替えました。
2階の個室2。クロスと床を張り替えました。重厚な収納はそのまま生かしました。
6畳の和室。畳の表替え、襖を新調し、壁天井のクロスを張り替えています。
クロスの色は少し落ち着いた色を選び、上品な和室になりました。
設計事務所ならではの細かなアイデアで、建物の魅力と暮らしやすさ、建物性能のバランスがとれた建物になりました。
まだまだこの先も末長く愛される建物になれば良いなと思っています。